WANNABE感想

 

よし、WANNABEの話をするぞ!イッチーじゃないぞ!ゴルチャの方!

 

 

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俺の自由律感想の前にWANNABEの作詞作曲をされたBLSSDさんのインタビューを読んで、作家さんの設定しているコンセプトをちゃんと把握・理解しておこうな!オタク!

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BLSSDさんはWANNABEについて大まかにまとめると以下のように言及しています。

 

WANNABEは「理想に向かった”渇望”」がテーマとなっている。この”理想”が異性(本文では異性って書いてたけど、パートナーになりたい人と捉えます)ということもあるが、自分の望む理想郷も指しており、楽曲内では理想郷や夢、希望についての話をしたいと考えていた。(大雑把訳)

※大衆には異性に対する愛の歌としてアプローチできればいいと思っていたが、それと同時に単なる愛の歌として捉えられないでほしいとも期待していたそう。=wannabeのコンセプトは「自我探し」であることに揺るがないが、”自分”のための歌にも”愛”のための歌にも解釈できるようにつくったため。

 

というわけでBLSSDさんはあらゆる形の”理想”に対する渇望の歌とおっしゃっています。しかしあたしの脳みそは一般大衆仕様なので、愛についての歌として感想を書いていきます。

 

ごめんね!!!(クソ馬鹿デカ声)

 

 

WANNABEで注目したいのは”君”と”僕”の関係性。好意を寄せている、とかそういうレベルのお話ではない”君”という存在の大きさがやっぱり気になる。

 

その違和感を踏まえた上で歌詞を読むと、2人の関係性はプラトン『饗宴』の中で語られる「人間球体説」を彷彿とさせます。簡単に説明すると、

 

もともと人間は球体の形をしていて、手足がそれぞれ二対、顔と耳も二対あり、それが完全体としての姿でした。しかしその姿の人間は神を脅かす強大なパワーを持つようになり、その力を恐れたゼウスは人間を2つに切り裂く、という行為に及びます。つまり、完全体であった人間(1人)が、2人の人間になったということです。

それから人間(半身)は本来あるべき姿に戻ろうと、もう一方の半身(分身・片割れ)を求めようとする衝動に突き動かされるようになります。この行為こそが自らの本来の完全な姿へ回帰しようとする根源的な欲求に基づいた自然な愛のあり方であると議論の中で唱えられています。

 

ちなみにこの球体、男/男(アンドロ)、女/女(ギュロス)、男/女(アンドロギュロス)の三種類の組み合わせがあって、議論の中で同性愛・異性愛は区別されることなく同様の起源をもつ愛の発生として同列に語られています

 

 

というわけでWANNABEの歌詞をみてみよう!!

 

귓가에 너의 Melody로 가득 채워

耳元に 君のメロディーでいっぱいに満たす

I wanna be wanna be you 너를 느끼고 싶어 君を感じたい

I wanna be wanna be you 네 안에 살고 싶어 君の中で生きたい 

아무것도 필요 없어 나에게는 너 외엔아니 그냥 난 너 자체가 될래

何も必要ない 僕にとって君以外は いやただ僕は君そのものになる 

목이 타 널 들이켜 네게 더 가까이  I want heartbeat

喉が乾いて君を飲み干す もっと近づいて

 

このように個と個というよりは、一体化という言葉が思い浮かぶ歌詞がいくつかあります。特にてぐさんのリリックはそれが顕著に表れていると思います。チャンジュンのリリックはおそらく”渇望”というBLSSDさんのコンセプトから飲み干すという表現を使ったと考えられますが、これに関しても一体化という言葉が容易に想像できます。

 

おもしろいなと思ったのが、渇望とはいいつつ「”君”に取り込まれようとする”僕”」と「”君”を取り込みたい”僕”」という受動と能動の2つの愛情欲求があることです。

渇望ってきくと一方的な歌詞(能動)に傾きがちですが、WANNABEはあくまで一体化(=完全体になる)ということが理想型として語られているように思えます。

じゃんてぐリリックがわかりやすくて、てぐさんは受動、チャンジュンは能動で綺麗な対比構造になっていますよね。つまりはこれなのよ。

f:id:bys28-shoko:20200320221336j:image※画像使いたいだけでは?

 

じゃんてぐオタクの血が騒いでしまいちょっと脱線しました。

 

歌詞中の”僕”は暗闇の中で絶望の淵に立っていますが、これは本来あるべき姿に戻ろうともう一方の半身を求めようともがいている状況と捉えることもできるでしょう。そんな状況で出会う”君”は、人間が元来持っているその欲求を満たす非常に重要な存在です。

어둠뿐인 이 세상에 네 눈빛이 날 눈뜨게 해

暗闇だけのこの世界に君の眼差しが 僕を目覚めさせる

この歌詞において「”君”と”僕”で完全体になる」という意識が僕の中で生まれたと解釈できます。そのあとに続く歌詞はもうみなさん好きに解釈してください(急な放棄)

 

ということであたしのWANNABEは人間球体説という話でした。

 

 

最後になんでこういう解釈に至ったかを説明して締めるとするか…

 

前に書いた記事で『Call me by your name』みたいだな~と書いていたあたしですが、

歌詞の根底にある雰囲気が『Call me by your name』*2*3みたいだな~と思ったりもするのでさらに好き…… 君がほしいじゃなくて、君になりたいんですよ……

ゴルチャ、コンサートがんばれ - God help the girl

この映画の考察でよく人間球体説が登場していたことが今回のWANNABE解釈に至った最大の要因です。「君の名前で僕を呼ぶ」という行為=一体化である、という考察においてよく引用されていました。あ、でも基本的に「自己愛」「自己肯定」の文脈で登場していて、今回のWANNABE解釈とは方向性が異なるんですけどね!

 

 

こうやっていろんなエンタメや文化が交差して自分なりの考えを見いだせるのって、やっぱりたのしいね~~と改めて感じることの出来たWANNABE感想でした。おわり