【狂炎ソナタ】芸術に作用する狂気とその線引き


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めでたい。

 

 

どんなお仕事でも嬉しいけど、音楽と直結するお仕事がくるのは本当に嬉しいね…!

 

 

 

というわけで原作読みました。

webcatplus.nii.ac.jp

狂炎ソナタは金東仁作品集(短編集)の中の一編。ミュージカルはこれを土台に創作されたもので、原作にはジュチャン演じるSはいません。俳優陣の演技・歌唱はもちろん、原作の再解釈がどんな風なのか気になる…

 

 

さて、原作の感想にうつります。 ネタバレ踏みたくないひとはさようなら~!

 

 

 

「機会(チャンス)というものは、人間を亡ぼすこともあれば世に出すこともあるということをご存じですかな」(K) 

 

「もう一つ ―〈天才〉すなわち天に賦与された才能も、場合によっては、〈機会〉がなくては永久に現れぬままで終わることもありますが、その〈機会〉がですな、ある人間から彼の〈天才〉と同時に〈犯罪本能〉を引き出したとするなら、われわれはその〈機会〉を呪うべきでしょうか。祝福すべきでしょうか。」(K)

 

端的にまとめると、昇華作用を持った狂気の存在をどこまで許容すべきか、という話。

 

狂炎ソナタは極端な例ではあるけれど、自分たちが受容している芸術は時に「狂気」性の部分を含めて評価されることがある、というのは事実だと思う。

 

読んでいて思い浮かんだのはベルリオーズの「幻想交響曲

www.youtube.com カラヤン・・・!!!

病的な感受性と激しい想像力に富んだ若い音楽家が、恋の悩みによる絶望の発作からアヘンによる服毒自殺を図る。麻酔薬の量は、死に至らしめるには足りず、彼は重苦しい眠りの中で一連の奇怪な幻想を見、その中で感覚、感情、記憶が、彼の病んだ脳の中に観念となって、そして音楽的な映像となって現われる。愛する人その人が、一つの旋律となって、そしてあたかも固定観念のように現われ、そこかしこに見出され、聞えてくる。

幻想交響曲 - Wikipedia

というストーリーから"ヤバイ"「幻想交響曲」ですが、なんといってもその時期の彼の生活が"ヤバイ"

 

①作曲のきっかけ

高嶺の花である俳優ハリエットに一目惚れ。気づいてほしくて大規模作品を作ることを決意。相手にされるはずもない日々の中で彼女に対する愛情と憎しみが募る(殺意まで芽生えたとかなんとか…)

 

②作曲期間・発表

ハリエットではなく、マリーというピアニストと婚約関係に。初演も好評で生活は順調。

 

③発表後・編曲作業

マリーの母によって強制的に破局。マリーは違う男性と結婚。激怒したベルリオーズは、マリーと彼女の母、婚約者3人を殺害する計画(全員をピストルで射殺、自身は服毒自殺するというもの)を立案。正気を取り戻し不実行に終わるも、ある程度編曲に影響。

 

 

こんな背景から生まれた「幻想交響曲」はベルリオーズで最も有名な作品となり、一発屋と評されてしまうほど。これを鑑みると、やっぱり芸術における「狂気」の存在は許容されている、というのは否めない。

 

(ちなみになんやかんやでベルリオーズは一目惚れ相手のハリエットと結婚するよ!よかったね~)

 

 

幻想交響曲」といった古典的な作品に限らず、現代の身近なところでも狂気の昇華は行われているように思う。

 

 

例えば、プデュのようなサバイバル番組なんかは極限状態としか形容できない過酷な環境をしつらえて彼らの「狂気」を引き出し、それを芸術に昇華しようという意図があるように見受けられる。終盤に近づくほど、本人の意思を介さず、何かに取り憑かれたようなパフォーマンスをする子って一定数でてきますよね。

 

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いい例 https://www.youtube.com/watch?v=HwuLgKNUf7U



また、FIESTAはある意味「死」とも呼べる一連の出来事を含めて楽曲を高く評価するひとがいたり。

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FIESTA好きコレオ  https://www.youtube.com/watch?v=ARWGlJc-C6E

 

 

社会的な事象やレビューサイトの乱立等、芸術家が狂気を持つ機会はベルリオーズの時代以上に増えているように感じる(まあこれは芸術家のみならず自分たちもだけど) だからこそそういった狂気の存在をどこまで許容し、どう評価するか、真剣に考えなければいけない段階にきているのかもしれないな、と思った。

 

 

www.youtube.com 去年のティザー映像

 

 

おわり!